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創立90周年記念式典 あいさつ
 鮮やかな紅葉の季節となり、秋の気配も深まってまいりました今日の良き日、東京都立第三商業高等学校創立90周年記念式典を挙行するにあたり、東京都議会議員、江東区議会議員をはじめ、多数の御来賓の方々、並びに保護者・同窓会の皆様の御臨席を賜り心より厚くお礼申し上げます。そして、東京都教育委員会を代表して、東京都東部学校経営支援センター支所長兼経営支援室長・藤井常光様、のご列席を賜わりました。
本校は、昭和3年1月に東京府立第三商業学校として創立し、第1期生は、明治小学校幼稚園跡で授業を開始し、同年8月に数矢小学校に移転、昭和5年4月に校舎第1期工事が完成して現在の地に移転しました。
設立時の草創期は、「リトルジェントルマンを創る」「制服は背広にネクタイ」「三商生は小紳士」「満州・朝鮮・支那方面への商業大視察旅行を実施」「修学旅行はサンフランシスコ」「授業は7時間、土曜日も6時間授業」「朝礼は毎日、上級生の指導講和を実施」「上級生は下級生に英語と漢文を教える指導授業を実施」「修身の教科書に論語を使用」「英語経済はジイドの経済原論の原書を使用」「英語商事要項の名称でグレビーのビジネスメソッドを習得」「卒業式後は帝国ホテルで祝賀晩餐会」等々、これらのフレーズを聞いただけでも、壮大な理想に基づく教育活動を実践していた設立草創期や興隆期の様子を過去の記念誌から知ることができます。
昭和10年代は、折りしも戦争へ向かう時期、国策により造船工業に転換を余儀なくされ、一時期は造船工業学校が併設されました。昭和15年より定時制課程を併設、さらに、学制改革により、昭和23年7月に現在の東京都立第三商業高等学校と改称され、戦前の草創期、興隆期、そして戦中期、戦後の混乱期を乗り越え、平成30年1月、めでたく創立90周年を迎えます。
今日に至るまで、歴代の校長をはじめ数多くの教職員の方々、並びに本校全日制課程・定時制課程で学んだ2万7千名を超える卒業生の皆様、さらには行政関係各位には本校教育の充実・発展のために多大なご尽力を頂いたことに対し、心から深く感謝申し上げます。
このたび周年行事を企画・運営する僥倖に恵まれました私共、教職員の責務は、90年の歴史を念頭に置き、現実をしっかりと踏まえながら、誇るべき100周年に向け、今まで以上に地域から愛される学校、なくてはならない学校としての基盤を再構築することにあると考えております。
この90年の間に、本校は商業科としての専門高校の強みを十二分に発揮し、就職、進学、資格取得、部活動、学校行事、地域との連携などに着実な成果をあげ、一時期は「天下の三商」として存在を顕示してまいりました。
また、ここ20年の都立高校改革において、学校を取り巻く環境が大きく変化し、本校にとっても教育活動を見直す機会となりました。国際ロータリークラブとの連携によるインターンシップ事業推進校、言語活動推進指定校、東京オリンピック・パラリンピック教育推進校、アクティブ・ラーニング推進校、地域連携推進モデル校、「奉仕」の科目名を「ライフビジョン」として、企業、商店街、ボランティアセンター、保育園、特養施設等の協力のもと、学校で学んだ知識を、学校外にて実践するボランティア活動体験等を契機として学校改革を大きく前進することができ、「生徒一人ひとりが光り輝く学校『SUN商』」を合い言葉に、江東区越中島深川地区の商業高校として現在も進化を遂げています。
さらに、本校の位置する現在の江東区臨海部エリアは、東京都の中でも目覚ましい発展を遂げている地域です。富岡八幡宮や深川不動尊の由緒ある神社・仏閣により、門前町として栄えた門前仲町、江戸の台所、築地市場や、その一部が移転する豊洲市場を含めたウォーターフロント地区に集まる新興企業、昔ながらの風情と近未来都市を連想させる環境が整いつつありま
す。
また、昭和15年2月に第三本科の名称でスタート、昭和18年度に第1回卒業生89名を輩出した定時制は、昭和28年4月には、定員1,090名と改正され、東京一のマンモス定時制になりました。その後、生徒数は減少の一途をたどり、現在は1年生から4年生までの生徒数55名となり、近年は、授業規律の整った学校、安心して学べる学校、資格取得ができる学校としての評価を得ています。
「都の空は明けたり 今」、本校校歌の1行目、出だしの歌詞です。この校歌の冒頭の一節に、私は三商の持つ歴史的役割の偉大さを感じます。「日本の富を担うわれら」「都の栄を築くわれら」「江戸の誇りを継げるわれら」。時代は変われども、校舎内では現在も、競い合い、励まし合い、汗や涙を共に流し、目標達成に向かって努力する姿や、元気で明るい挨拶、真剣に学ぶ活気と若者らしいすがすがしい声とがいつも満ち溢れています。
さて、昨今の社会状況に目を向けると、新しい産業、新しい職業が生まれている一方で、既存の職業の多くは近い将来新たなビジネスモデルに入れ替わらざるを得ないという状況があります。仕事が機械、ロボット、インターネット等に置き換えられることにより、人が担う仕事は知覚、感覚、コミュニケーション等、人間特有の能力を発揮できる領域へと変化していくことが予測されます。さらに、経済面では、製造業からサービス産業へ、物から価値の提供へ、ハードからソフト分野に一層移行して行くものと思われます。
また、教育界では、教育改革を行っている最中であり、現在行われている教育改革は、幕末から明治にかけての教育の改革に匹敵する大きな改革であると位置づけています。本校におきましても、今年度末に告示される高等学校新学習指導要領の趣旨を踏まえ、「実務に役立つ」「ビジネス社会に活用できる」教育課程の検討を行っている最中です。
90周年を迎えるこの年に、三商に在籍している生徒諸君! 諸君や卒業生にとっては、自分が学び、青春時代を過ごした学校、「三商」を愛し、母校として生涯かかわりをもつ学校が将来ますます「よい学校」に発展することを願うのは自然な心情です。「伝統は歴史ではなく、絶えまない創造である」と言われます。これまでの90年の伝統を引き継ぎ、新たな歴史を積み上げつつ、みなさんの若く明るく元気なエネルギーで学校生活を充実させ、三商生として誇りを持ってグローバル化した国際社会に巣立って欲しいと思います。
増築・改修を重ねてきた校舎も、平成24年度に大規模改修工事が始まり、平成26年度には新しい校舎の完成と共に「新たな三商の歴史」が始まっています。
①充実した商業科目の学習により、将来に役立つ資格取得を応援する学校、② 国語・数学・英語の基礎学力を向上させ、専門性を深化させる学校、③ 卒業後の進路実現100%を目指す学校、④ 地域と連携し、地域から愛される学校
という目指す学校像実現のため、都教育委員会の支援はもとより、保護者・PTA関係者・同窓会・地域の皆様方には、今後とも第三商業高校への一層のご支援・ご協力を重ねてお願いし、式辞といたします。

平成29年11月11日
東京都立第三商業高等学校長 中山 博之

by jsansho | 2017-12-05 08:56 | 行事
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